お知らせ・活動内容

【コラム】回想法  -自然に起こる心理過程?―

回想法とは

回想法とは、昔の写真や音楽,家庭用品などを用いて、昔の思い出を想起し語り合う心理療法の一種です。1960年代始めにアメリカの精神科医、Robert N Butlerが提唱しました。国内では1990年代より認知症の方へのアプロ―チとして用いられています。

 

回想法の効果

認知症の方は最近の記憶は失いがちですが、昔のことを思い出し、語り合うことで、集中力の向上や自発語の増加が報告されています。また、「笑顔が見られる」「穏やかになった」など家族の意見も聞かれていることが報告されています。

しかし、認知症が回想法で治ることは期待できないため、認知症のアプローチとして回想法が用いられないこともしばしばあります。

 

回想法の実践

回想法はマンツーマンで行う個人回想法と複数のメンバーで行うグループ回想法とがあります。視覚や聴覚、触覚、嗅覚、味覚などの刺激を利用して昔のことを思い出しやすいことがわかっています。そのため、昔の写真や音楽、生活用品、季節の行事など様々なものが回想法で利用できます。

コスモス苑では、リハビリスタッフが、屋外での歩行訓練や散歩を通して、季節にちなんだ何気ない会話から、昔話を想起できるような話題提供をしております。例えば、桜の咲いている季節には、できるだけ桜の見えるボートコースまで同行しております。桜の話から、昔見た桜の思い出話は認知症の方からよく聞かれる話です。その際、笑顔で昔の話をされる方が多い印象を受けます。桜の季節が終わった後でも、認知症の方とボートコース付近を散歩していますと、認知症の方から桜のお話が出ることもあります。

また、回想法の実践の中では、認知症の方から、当時は言えなかっただろうと思える過去の失敗体験を素直にお話しされる方も珍しくありません。人生を振り返り、失敗体験も含めて自分の経験を確認し、自分のことを肯定的に捉えて話される方もおられます。

 

今後の課題

Robert N Butlerは、高齢者の回想を死が近づいてくることにより、「自然に起こる心理過程」であり、訪れる死のサインに伴う不安を和らげる効果もあることを指摘しております。 老健では、看取りの利用者様が徐々に増えています。今後、看取りの利用者様に対しまして、死と向かい合う不安を少しでも和らげられるよう、看取りの方へも回想法を活用していく必要があるかもしれません。

 

コスモス苑 作業療法士 I.K

参考文献:野村豊子著 回想法とライフレビュー その理論と技法 中央法規 1998年

map交通アクセス情報 access

〒335−0026 埼玉県戸田市新曽南3−6−23

【電車でお越しの場合】

  • JR埼京線 戸田公園駅より徒歩約15分
  • JR埼京線 戸田公園駅西口より国際興業バス系統[戸52]または[川52]の バスで「新曽南二丁目」下車、徒歩約5分
  • JR埼京線 戸田公園駅西口より戸田市コミュニティバス toco 南西循環で 「新曽南三丁目」下車、徒歩約2分