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【介護士日記】♯2 反応が「0」ではないと信じて向き合う

B様は病院での治療期間を終えられ入所されたものの全身状態は厳しい状態にあった。

経口からの食事摂取はできず、胸から腰にかけて大きな褥瘡あり。
両足裏にはチアノーゼ。全身がむくんでいる。
意識は、呼びかけに反応する程度であった。

入所されてきた時の様子。
目やにで目が開かない。
ヒゲは伸びっぱなしだった。
入所翌朝、朝のケアで、他の介護士が目やにを取ってくれていた。
私は夜勤明けの朝、Bさんに声をかけた。
「Bさん!おはようございます!
おはよう!ヒゲが伸びてるから剃りましょうね」
するとBさんは、私の方を一瞬見て、声を出してくれた。
「ア…」という程度であったが、
「おはよう」と答えてくれたのだと、私は勝手に解釈した。
そして、頬を拭き、髪をとかし、ヒゲを剃った。
「キレイになりましたよ!」と声をかけると、一瞬、微笑んでくれたように見えた。

その2日後、Bさんは息を引き取られた。
Bさんに、何かしてあげられて良かった。
本当に良かった。
私はBさんとは、夜勤でしか支援する機会がなかった。
いつ危篤になってもおかしくない状態であっても、他の利用者と同じように接し、いや、他の利用者よりも少し多めに声をかけ、接する時間が大切であろうと思った。
最後を家族と共にに過ごせないだけに、どんな様子だったかを伝えるためにも、私たちは言葉に誠意を尽くす事が大切である。

反応が良くない状態でも、決して「0」ではないと思った。Bさんの笑顔と声を、聴くことができて本当に良かった。
また、寝たきりといっても「整容」は怠ってはいけない。
気持ちが前向きになったり、清潔を保つためには大切である。

私は夜勤で、どんなに忙しくても、
「整容」――全員の髪をとかす事は、必ずやろうと心に決めて続けている。

Bさんに対しては、本当に気の毒に思い、心が痛んだ。
「ヒゲ剃り」だけでもやってあげられた事が、自己満足かもしれないが、本当に良かったと感じている。

あとがき

この日記に書かれているのは、特別な技術でも、華やかな成果でもありません。
「反応が良くない状態でも、決して「0」ではない」
その言葉どおり、この介護士は最後まで、ひとりの人として向き合っています。
忙しい夜勤の中でも、整容を欠かさず、声をかけ、他の利用者と同じように接すること。
それは簡単なようで、実は強い意志がなければ続けられない関わりです。
「自己満足かもしれない」と書かれていますが、私はそうは思いません。
最期の時間に、穏やかな表情と記憶を残せたことは、確かなケアの証です。

このような日常の積み重ねこそが、私たちの施設の支援の質であり、ここで働く職員の誇りだと感じています。

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