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【コラム】若年性認知症の就労

 

厚生労働省は「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告(平成20年7月10日)に基づき、若年性認知症施策について、さまざまな取組みを進めています。

若年性認知症施策の現状と課題          

○ 若年性認知症に対する理解の促進

○ 早期診断、医療、介護の充実

○ 雇用継続や就労の支援

○ 障害者手帳の早期取得や障害基礎年金の受給などに対する支援

若年性認知症の人一人ひとりの状態に応じた支援を図る

体制を構築することが喫緊の課題となっている。

 

その中で、「雇用継続や就労の支援」が掲げられていますが、若年性認知症者の多くは定年退職前に退職しているのが現状です。認知症介護研究・研修大府センターの2014年の調査によると、若年性認知症を発症した時点で働いていた人(1411人)のうち、定年前に自ら退職996人(71%)、解雇119人(8%)。就労中161人(11%)という結果でした。支援者がいれば、掃除や草むしり、書類の整理や封入などで収入を得ている若年性認知症者の報告が僅かになされていますが、今のところ、若年性認知症の就労継続支援は充分には行なわれていません。

また、高齢の認知症の方でも働いていない人は多いようです。しかし、認知症の方も適切な援助があれば仕事が可能な方はいます。認知症者の就労の支援はほとんど広まっていませんが、今後さらに人手不足の状態は続くとされていますので、認知症者も少しでも働いてもらいマンパワー不足に少しでも貢献してもらえないでしょうか。

コスモス苑では、おしぼりたたみなどの軽作業を本人が希望すれば利用者に手伝ってもらうことがあります。多くの認知症の方は働いていませんが、軽作業なら可能な軽度認知症者は多く、介護者や作業療法士が軽作業を設定すれば可能ですが、あえて設定しないと無為に過ごしてしまいます。本人の同意が前提ですが、軽作業を喜んでされる軽度認知症の方は少なからずおられます。

これからは、援助付でも認知症者も働ける社会づくりが必要ではないでしょうか。認知症の人ができる作業を見極め、認知症の方が混乱しないような職場環境を作る必要があります。例えば、軽度認知症者が書類を封筒に入れるときは、混乱や誤った作業を引き起こさないように、テーブル上に必要なもの以外は置かないようにして、封入する書類を3点に限って一直線に並べ、書類を選択しやすくするなどの工夫で軽度認知症者は一つ一つ書類を手に取って封筒に入れることができます。できない人は切手貼りだけ、封を閉じるだけの仕事をお仕事とします。

若年性認知症の就労支援ばかりではなく、これからは高齢認知症者も僅かな賃金でも有償の労働が許される環境が必要ではないでしょうか。例えば、介護施設の給食作りの一部、掃除や草むしり、書類の封入、物品運び、車いすや送迎車の掃除などを介護施設の職員の援助があれば高齢認知症の方もできるのではないでしょうか。経営者や同僚などの周囲の支援があれば、軽度認知症の方も援助付きで働くことによって社会に貢献できる日は来るのではないでしょうか。その日は遠い未来のことでしょうか。

コスモス苑 作業療法士 I.K

 

 

 

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